数列の極限
ここではまず、微積分の基本概念である「極限」について述べる。
極限を説明するにあたり、まず数列の極限を取り上げる。
数列の極限は、極限の離散的な形式である。
数列の定義
数列とは、自然数の集合上に定義され、自然数の順序に従って並んだ実数の列のことである。
$$a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_n,\ \cdots$$
通常は $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ という記号で表し、第 $n$ 項 $a_n$ をこの数列の一般項と呼ぶ。
あるいは、数列 $\{a_n\}$ は自然数の集合 $\mathbb{N}$ 上の関数 $f(n)$,$n \in \mathbb{N}$ と捉えることもできる。
実数と数直線上の点を対応させれば、数列は数直線上の点の列とみなせる。
そのため、数列を点列と呼ぶこともある。
ここでは実数の数列のみを扱う。
数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ の極限とは、$n$ が無限に大きくなるとき、一般項 $a_n$ がどのような値に近づくかを調べることである。
たとえば、
$$1,\ \frac{1}{2},\ \frac{1}{3},\ \cdots,\ \frac{1}{n},\ \cdots ,
\qquad
1,\ \frac{1}{2},\ 1,\ \frac{1}{3},\ \cdots,\ 1,\ \frac{1}{n},\ \cdots$$
という2つの数列を考える。
$n$ が無限に大きくなるとき、第一の数列の一般項は固定した数「$0$」に「無限に近づく」。
第二の数列はそうではなく、一般項が 1 になったり 0 に近づいたりを繰り返し、その挙動は第一の数列とまったく異なり、いかなる固定した数にも「無限に近づく」ことはできない。
数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ の一般項 $a_n$ が $n$ が無限に大きくなるにつれてある実数 $a$ に無限に近づくことが、関心事である。
「無限に近づく」とは「近づき具合をいくらでも良くできる」ということ、言い換えれば、ある実数 $a$ があって、どれだけ細かく「近づきの度合い」を指定しても、$n$ が十分大きくなれば、すべての $a_n$ がその要求を満たすということである。
そこで、この記述的な説明に代わり、「近づき」の度合いを数学的・論理的に厳密に定義する必要がある。
実数の集合、あるいは数直線上では、絶対値が自然に距離の役割を果たし、2つの数の近さを測る尺度となる。
$n$ が増大するにつれて $|a_n - a|$ が小さくなれば、$a_n$ は $a$ に近づくことを意味する。
数列 $a_n = \frac{1}{n}$,$n \geq 1$ を例にとる。
固定した数「$0$」に対して、$\frac{1}{n}$ と 0 の近づきの度合いが $10^{-2}$ 未満となるためには $n > 100$ であれば十分であり、そのときすべての $a_n = \frac{1}{n}$ について $\left|\frac{1}{n} - 0\right| < 10^{-2}$ が成り立つ。
同様に、近づきの度合いを $10^{-100}$ 未満とするには $n > 10^{100}$ であれば十分であり、$\frac{1}{n}$ はその要求 $\left|\frac{1}{n} - 0\right| < 10^{-100}$ を満たす。
一般に、任意に与えた正の数 $\varepsilon$ に対して $n$ が十分大きくなれば $\left|\frac{1}{n} - 0\right| < \varepsilon$ が成り立つことを示すには、$n > N = \left[\frac{1}{\varepsilon}\right] + 1$(ここで $[x]$ は実数 $x$ を超えない最大の整数)を選べばよい。
実際、
$$\left|\frac{1}{n} - 0\right| = \frac{1}{n} < \frac{1}{N} < \varepsilon.$$
したがって、任意の正の数 $\varepsilon$ に対して、$n > N(\varepsilon)$ となるような $N$ が存在すれば「$n$ が無限に大きくなるにつれて 0 に近づく」と言える。
なお $N$ は $\varepsilon$ に依存してよく、一意である必要もない。
$\varepsilon$ が小さいほど(要求が厳しいほど)、対応する $N$ は大きくなる。
定義 1
$\{a_n\}$ を与えられた数列とする。
実数 $a$ が次の性質を持つとき、すなわち
任意の正数 $\varepsilon$ に対して、ある自然数 $N = N(\varepsilon)$ が存在して、
$n > N$ ならば不等式
$$|a_n - a| < \varepsilon$$
が成立するとき、$a$ を数列 $\{a_n\}$ の極限といい、数列 $\{a_n\}$ は $a$ に収束するという。記号では
$$\lim_{n \to \infty} a_n = a,\quad \text{あるいは}\quad \lim a_n = a$$
と書く。また $a_n \to a\ (n \to \infty)$ とも書き、「$n$ が無限大に近づくとき、$a_n$ は $a$ に収束する」という。
数列 $\{a_n\}$ が $a$ に収束することの幾何学的な意味は次の通りである。
任意の $\varepsilon > 0$ に対して、$a$ を中心・$\varepsilon$ を半径とする開区間 $(a - \varepsilon,\, a + \varepsilon)$ の外に落ちる点は、高々有限個 $a_1, a_2, \ldots, a_N$ に限られる(図 1.1)。
例 1 $a_n = a\;(n = 1, 2, 3, \ldots)$ を定数数列という。このとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$。
例 2 $\alpha > 0$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} \frac{1}{n^\alpha} = 0$。
証明. 任意の正の数$\varepsilon$ に対して不等式
$$\left|\frac{1}{n^\alpha} - 0\right| = \frac{1}{n^\alpha} < \varepsilon$$
を解くと $n > \left(\dfrac{1}{\varepsilon}\right)^{\!1/\alpha}$。そこで
$$N = \left[\left(\frac{1}{\varepsilon}\right)^{\!1/\alpha}\right] + 1$$
ととれば、$n > N$ のとき $\left|\dfrac{1}{n^\alpha} - 0\right| < \varepsilon$ が成り立つ。定義より $\displaystyle\lim_{n\to\infty} \frac{1}{n^\alpha} = 0$。
例 3 $q$ を実数とし $|q| < 1$ とする。このとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} q^n = 0$。
証明. $q = 0$ のときは明らか。以下 $q \neq 0$ と仮定する。一般性を失わず $0 < \varepsilon < 1$ としてよい。不等式
$$|q^n - 0| = |q|^n < \varepsilon$$
を解くと $n\ln|q| < \ln\varepsilon$。$0 < |q| < 1$ かつ $0 < \varepsilon < 1$ より $\ln|q| < 0$,$\ln\varepsilon < 0$ であるから、$n > \dfrac{\ln\varepsilon}{\ln|q|}$。よって
$$N = \left[\frac{\ln\varepsilon}{\ln|q|}\right] + 1$$
ととれば、$n > N$ のとき $|q^n - 0| < \varepsilon$ が成り立つ。ゆえに $\displaystyle\lim_{n\to\infty} q^n = 0$。
例 4 $\displaystyle\lim_{n\to\infty} \frac{2^n}{n!} = 0$ を証明せよ。
証明. $\varepsilon > 0$ を任意に与える。直接 $N$ を見つけるのは難しいが、$N$ の存在だけ示せば十分なので、$\dfrac{2^n}{n!}$ を適当に大きく見積もる。
$$\left|\frac{2^n}{n!} - 0\right| = \frac{2^n}{n!}
= 2\prod_{k=2}^{n}\frac{2}{k} \leq 2 \cdot \frac{2}{n} = \frac{4}{n}\quad(n \ge 2).$$
よって $\dfrac{4}{n} < \varepsilon$ より $n > \dfrac{4}{\varepsilon}$。$N = \left[\dfrac{4}{\varepsilon}\right] + 1$ ととれば、$n > N$ のとき
$$\left|\frac{2^n}{n!} - 0\right| = \frac{2^n}{n!} \leq \frac{4}{n} < \frac{4}{N} < \varepsilon.$$
ゆえに結論が得られる。
極限の定義を用いれば、いくつかの簡単な数列の極限を証明できる。
しかし、この方法は極限値をあらかじめ「見当をつけ」て、その後に定義に戻って検証するものである。
より複雑な数列では極限値の見当をつけること自体が難しく、また仮についたとしても定義による検証が相当困難な場合がある。
そのため、極限のさまざまな性質をさらに理解する必要がある。
収束数列の性質
ここでは収束数列のいくつかの基本的な性質を述べる。
これらの性質を理解・証明する過程で、前節の数列の収束に関する幾何学的な解釈が非常に役立つ。
定理 1
- $\{a_n\}$ が収束数列ならば、$\{a_n\}$ の極限は唯一である。
- 数列の有限個の項を変えても、数列の収束性とその極限は変わらない。
証明
1$^\circ$ $\{a_n\}$ が2つの極限値 $a$ と $b$ を持つとする。極限の定義より、任意の正数 $\varepsilon$ に対して正整数 $N_1$,$N_2$ が存在して、
$$n > N_1 \text{ のとき } |a_n - a| < \frac{\varepsilon}{2},\qquad
n > N_2 \text{ のとき } |a_n - b| < \frac{\varepsilon}{2}.$$
$n > \max(N_1, N_2)$ のとき両方の不等式が成立するから、
$$|a - b| = |(a - a_n) + (a_n - b)| \leq |a_n - a| + |a_n - b| < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon.$$
2つの数の距離が任意の正数より小さいから $a = b$。
幾何学的に見れば、$a \neq b$ という2つの極限値があるとする。
$a$ と $b$ の距離の半分を $\varepsilon$ とすれば、$(a - \varepsilon,\, a + \varepsilon)$ と $(b - \varepsilon,\, b + \varepsilon)$ は共有点を持たない。
極限の定義より $n$ が十分大きくなれば $a_n$ はいずれの開区間にも属さなければならないが、それは不可能である。
2$^\circ$ 極限の定義は十分大きな $n$ 以降の各項の傾向だけで決まるから、有限個の項を変えても十分大きな $n$ 以降の事情は変わらない。
定理 2 数列 $\{a_n\}$ が $a$ に収束するとする。
- $\{a_n\}$ は有界数列である。すなわち、ある正数 $M$($n$ に無関係)が存在して、すべての $n = 1, 2, 3, \ldots$ に対して $|a_n| \leq M$ が成り立つ(収束数列は必ず有界)。
- $b$,$c$ を $b < a < c$ なる2つの実数とすると、$n$ が十分大きいとき $b < a_n < c$。特に $a > 0$ ならば $n$ が十分大きいとき $a_n > 0$。
証明
1$^\circ$ $\varepsilon = 1$ ととると、定義より自然数 $N$ が存在して $n > N$ のとき $|a_n - a| < 1$、すなわち $|a_n| < |a| + 1$。そこで
$$M = \max(|a| + 1,\; |a_1|,\; |a_2|,\; \ldots,\; |a_N|)$$
とおく。有限個の数には必ず最大値が存在し、この $M$ は明らかに $n$ に無関係である。したがってすべての $n$ に対して $|a_n| \leq M$ が成り立つ。
2$^\circ$ $b < a$ より $\varepsilon = a - b$ ととれば、自然数 $N_1$ が存在して $n > N_1$ のとき $|a_n - a| < a - b$、したがって $a_n > b$。同様に $a_n < c$ も示せる。
定理 2 の 1$^\circ$ は収束数列の必要条件を与え、無界数列は必ず発散することがわかる。
たとえば数列 $0, 1, 0, 2, 0, 3, \ldots, 0, n, \ldots$ は無界だから発散する。
ただし有界性は収束を保証しない。たとえば $\{(-1)^{n-1}\}$ は有界ではあるが収束しない(例 5 と同様)。
定理 2 の 2$^\circ$ から次の系が得られる。
系 数列 $\{a_n\}$ が $a$ に収束し、$b$,$c$ が実数で $n$ が十分大きいとき $b \leq a_n \leq c$ ならば $b \leq a \leq c$。
注意:$a_n > b$(厳密な不等式)であっても $a > b$ は必ずしも成立しない。たとえば $a_n = \dfrac{1}{n} > 0$ であるが、その極限値は $0$ である。
定理 3 数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ がそれぞれ $a$ と $b$ に収束するとき、
- $n$ が十分大きいとき $a_n \geq b_n$ ならば $a \geq b$。
- $a > b$ ならば $n$ が十分大きいとき $a_n > b_n$。
証明
1$^\circ$ $a < b$ と仮定して $a < c < b$ なる $c$ をとれば、定理 2 の 2$^\circ$ より $n$ が十分大きいとき $a_n < c$ かつ $b_n > c$。よって $a_n < c < b_n$ となり条件に矛盾する。
2$^\circ$ $a > c > b$ となる $c$ をとれば、定理 2 の 2$^\circ$ より $n$ が十分大きいとき $a_n > c > b_n$。
部分数列
数列 $\{a_n\}$ の部分数列(略して部分列)とは、もとの数列から無限個の項を選び、もとの順序のまま並べてできる新たな数列のことである。
$\{a_{n_k}\}$,$(k \geq 1)$ という形式で表し、$n_k$,$(k \geq 1)$ はすべて正整数で $n_1 < n_2 < \cdots < n_k < \cdots$ を満たす。
定理 4 $\{a_n\}$ が $a$ に収束するならば、その任意の部分列も $a$ に収束する。
証明
$\{a_{n_k}\}$ を $\{a_n\}$ の一つの部分列とする。任意の正数 $\varepsilon$ に対して $\{a_n\}$ が $a$ に収束するから、ある正整数 $N$ が存在して $n > N$ のとき $|a_n - a| < \varepsilon$。
$n_1 < n_2 < \cdots < n_k < \cdots$ はすべて正整数だから、ある $K$ が存在して $k > K$ のとき $n_k > N$。
よって $k > K$ のとき $|a_{n_k} - a| < \varepsilon$、すなわち $\displaystyle\lim_{k\to\infty} a_{n_k} = a$。
定理 4 の別の含意として、ある数列の2つの部分列がそれぞれ異なる値に収束する場合、あるいは一方の部分列が収束しない場合、もとの数列は極限を持たない。
例 5 数列 $\{(-1)^n\}$ が発散することを示せ。
証明. $a_n = (-1)^n$ とおくと、部分列 $\{a_{2k}\}$ は $1$ に収束し、部分列 $\{a_{2k-1}\}$ は $-1$ に収束する。定理 4 よりもとの数列は発散する。
例 6 数列 $1, 1, 1, 2, 1, 3, \cdots, 1, n, \cdots$ には部分列 $1, 2, 3, \cdots, n, \cdots$ が含まれる。この部分列は発散しているから、もとの数列も発散する。
例 7 収束数列の極限が $0$ でなければ、その数列の中で $0$ になる項は高々有限個である。
証明. 数列の中に無限個の項が $0$ であれば、これらの項がある部分列を構成し、その極限は $0$ である。定理 4 よりこの部分列の極限はもとの数列の極限と一致するから、もとの極限も $0$ となり矛盾する。
収束数列の四則演算
定理 5 数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ がそれぞれ $a$ と $b$ に収束するとき、
- 数列 $\{a_n \pm b_n\}$ は収束し、極限は $a \pm b$、すなわち
$$\lim_{n\to\infty}(a_n \pm b_n) = \lim_{n\to\infty} a_n \pm \lim_{n\to\infty} b_n = a \pm b.$$
- 数列 $\{a_n b_n\}$ は収束し、極限は $ab$、すなわち
$$\lim_{n\to\infty} a_n b_n = \lim_{n\to\infty} a_n \cdot \lim_{n\to\infty} b_n = ab.$$
特に定数 $c$ に対して $\displaystyle\lim_{n\to\infty} c\,a_n = c \lim_{n\to\infty} a_n = ca$(定数は極限の外に出せる)。 - $b \neq 0$ ならば数列 $\!\left\{\dfrac{a_n}{b_n}\right\}$ は収束し、極限は $\dfrac{a}{b}$、すなわち
$$\lim_{n\to\infty} \frac{a_n}{b_n} = \frac{\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n}{\displaystyle\lim_{n\to\infty} b_n} = \frac{a}{b}.$$
証明
3$^\circ$ については、まず商が意味を持つための準備をする。$b_n = 0$ となる項がある場合でも、$b \neq 0$ より $b_n = 0$ となる項は高々有限個(例 7 参照)だから、それらの値を変えても $\{b_n\}$ の収束性と極限は変わらない(定理 1 の 2$^\circ$)。
したがって $\left\{\dfrac{a_n}{b_n}\right\}$ の収束性と極限も変わらない。
1$^\circ$ 任意の $\varepsilon > 0$ に対して、$\{a_n\} \to a$,$\{b_n\} \to b$ より $N_1$,$N_2$ が存在して、
$$n > N_1 \text{ のとき } |a_n - a| < \frac{\varepsilon}{2},\qquad
n > N_2 \text{ のとき } |b_n - b| < \frac{\varepsilon}{2}.$$
$N = \max(N_1, N_2)$ ととれば $n > N$ のとき、
$$|(a_n + b_n) - (a + b)| \leq |a_n - a| + |b_n - b| < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon.$$
減法の場合も同様。
2$^\circ$ まず
$$|a_n b_n - ab| \leq |a_n||b_n - b| + |b||a_n - a|.$$
$\{a_n\}$,$\{b_n\}$ は収束数列だから有界であり(定理 2 の 1$^\circ$)、共通の上界 $M > 0$ が存在して $|a_n|,\, |b_n|,\, |b| < M$。
任意の $\varepsilon > 0$ に対してある $N$ が存在して $n > N$ のとき
$|a_n - a| < \dfrac{\varepsilon}{2M}$,$|b_n - b| < \dfrac{\varepsilon}{2M}$
となるから、
$$|a_n b_n - ab| < M \cdot \frac{\varepsilon}{2M} + M \cdot \frac{\varepsilon}{2M} = \varepsilon.$$
3$^\circ$ まず $\dfrac{1}{b_n} \to \dfrac{1}{b}$ を示す。$b_n \to b \neq 0$ より、$n$ が十分大きいとき $|b_n| > \dfrac{|b|}{2}$(定理 2 の 2$^\circ$ を $|b_n|$ に適用)。このとき
$$\left|\frac{1}{b_n} - \frac{1}{b}\right| = \frac{|b - b_n|}{|b_n||b|} < \frac{2}{|b|^2}|b_n - b| \to 0.$$
したがって 2$^\circ$ により $\dfrac{a_n}{b_n} = a_n \cdot \dfrac{1}{b_n} \to \dfrac{a}{b}$。
例 8 $\displaystyle\lim_{n\to\infty} \frac{3n^2 - n + 1}{2n^2 + n - 3}$ を求めよ。
解. 分子・分母を $n^2$ で割ると、
$$\lim_{n\to\infty} \frac{3n^2 - n + 1}{2n^2 + n - 3}
= \lim_{n\to\infty} \frac{3 - \dfrac{1}{n} + \dfrac{1}{n^2}}{2 + \dfrac{1}{n} - \dfrac{3}{n^2}}
= \frac{3 - 0 + 0}{2 + 0 - 0} = \frac{3}{2}.$$
例 9 次の極限を求めよ。
$$\lim_{n\to\infty} \frac{1}{n^2}(1 + 2 + \cdots + n).$$
解.
$$\lim_{n\to\infty} \frac{1}{n^2}(1 + 2 + \cdots + n)
= \lim_{n\to\infty} \frac{n(n+1)}{2n^2}
= \lim_{n\to\infty} \left(\frac{1}{2} + \frac{1}{2n}\right)
= \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \lim_{n\to\infty} \frac{1}{n}
= \frac{1}{2} + 0 = \frac{1}{2}.$$
例 10 次の極限を求めよ。
$$\lim_{n\to\infty} \frac{2^n + 5 \cdot 3^n}{3^n + 5 \cdot 2^n}.$$
解. 分子・分母を $3^n$ で割ると、
$$\lim_{n\to\infty} \frac{2^n + 5 \cdot 3^n}{3^n + 5 \cdot 2^n}
= \lim_{n\to\infty} \frac{\left(\dfrac{2}{3}\right)^n + 5}{1 + 5 \cdot \left(\dfrac{2}{3}\right)^n}
= \frac{0 + 5}{1 + 5 \cdot 0} = 5.$$
ここで $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(\frac{2}{3}\right)^n = 0$(例 3)を用いた。
数列の収束の判別法則
極限値を前もって知らなくても収束を判断できる方法があると便利である。
数列の収束の定義は主に差 $|a_n - a|$ の評価に基づいているが、この方法は極限値がすでに既知の場合にしか使えない。
そこで極限値をあらかじめ知らなくても収束の判別ができる方法が望ましい。
以下では重要な判別法をいくつか述べる。
まず第一の判別法は初等的かつ実用的なものである。
大まかに言えば、その精神は既知の収束数列を利用して、考慮している数列の収束性を推断するものである。
考慮している数列の一般項が、同一の極限値へ収束する2つの数列の一般項の間に挟まれているならば、それは「挟まれて」収束せざるを得ず、しかも同じ極限値を持つ。
これを通常はさみうちの原理という。
定理 6(はさみうちの原理) 数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ がともに $a$ に収束し、すべての十分大きな $n$ に対して
$$a_n \leq c_n \leq b_n$$
が成り立つならば、数列 $\{c_n\}$ も収束し、その極限も $a$ である。
証明
$\{a_n\} \to a$,$\{b_n\} \to a$ より、任意の $\varepsilon > 0$ に対して正整数 $N_1$,$N_2$,$N_3$ が存在して、
それぞれ $n > N_1$ のとき $|a_n - a| < \varepsilon$,$n > N_2$ のとき $|b_n - a| < \varepsilon$,
$n > N_3$ のとき $a_n \leq c_n \leq b_n$。
$N = \max(N_1, N_2, N_3)$ ととれば $n > N$ のとき、
$$a - \varepsilon < a_n \leq c_n \leq b_n < a + \varepsilon,$$
すなわち $|c_n - a| < \varepsilon$。
例 11 $\alpha > 0$,$|q| < 1$ のとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} n^\alpha q^n = 0$ を示せ。
証明. $q = 0$ のときは明らか。$q \neq 0$ とし、$\dfrac{1}{|q|} = 1 + h$($h > 0$)とおく。整数 $k \geq \alpha$ をとる。$n \geq 2(k+1)$ のとき、二項定理から
$$(1+h)^n \geq \binom{n}{k+1} h^{k+1} \geq \frac{(n/2)^{k+1}}{(k+1)!}\,h^{k+1}.$$
したがって
$$|n^\alpha q^n| \leq \frac{n^k}{(1+h)^n} \leq \frac{2^{k+1}(k+1)!}{h^{k+1}} \cdot \frac{1}{n} \to 0.$$
はさみうちの原理より $\displaystyle\lim_{n\to\infty} n^\alpha q^n = 0$。
例 12 $\alpha > 0$ のとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{1 + \frac{1}{n^\alpha}} = 1$ を求めよ($\alpha$ は与えられた正の実数)。
解. $\alpha > 0$ のとき明らかに
$$1 < \sqrt[n]{1 + \frac{1}{n^\alpha}} < 1 + \frac{1}{n^\alpha}$$
が成り立つ。$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1 + \frac{1}{n^\alpha}\right) = 1$ だから、はさみうちの原理より求める極限は $1$。
例 13 次の極限を求めよ。
$$\lim_{n\to\infty}\left(\frac{1}{\sqrt{n^2+1}} + \frac{1}{\sqrt{n^2+2}} + \cdots + \frac{1}{\sqrt{n^2+n}}\right).$$
解. 次の不等式に注意する。
$$\frac{n}{\sqrt{n^2+n}} \leq \frac{1}{\sqrt{n^2+1}} + \frac{1}{\sqrt{n^2+2}} + \cdots + \frac{1}{\sqrt{n^2+n}} \leq \frac{n}{\sqrt{n^2+1}}.$$
また
$$\frac{n}{\sqrt{n^2+n}} = \frac{1}{\sqrt{1+\dfrac{1}{n}}}, \qquad
\frac{n}{\sqrt{n^2+1}} = \frac{1}{\sqrt{1+\dfrac{1}{n^2}}},$$
だから
$$\lim_{n\to\infty}\frac{n}{\sqrt{n^2+n}} = \lim_{n\to\infty}\frac{n}{\sqrt{n^2+1}} = 1.$$
よってはさみうちの原理より求める極限は $1$。
例 14 $a > 0$ のとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a} = 1$ を証明せよ。
証明. $a = 1$ のときは明らか。$a > 1$ のとき $\sqrt[n]{a} > 1$ だから、$\sqrt[n]{a} = 1 + \lambda_n$($\lambda_n > 0$)とおくと、二項不等式より
$$a = (1 + \lambda_n)^n > 1 + n\lambda_n,$$
したがって
$$0 < \lambda_n = \sqrt[n]{a} - 1 < \frac{a-1}{n}.$$
$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a-1}{n} = 0$ だから、定理 6 より $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a} = 1$。
$0 < a < 1$ のとき $\dfrac{1}{a} > 1$ より $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{\frac{1}{a}} = 1$、よって
$$\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a} = \frac{1}{\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{\dfrac{1}{a}}} = 1.$$
例 15 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{n} = 1$ を証明せよ。
証明. $\sqrt[n]{n} = 1 + \lambda_n$ とおくと $\lambda_n > 0$ であり、二項定理より
$$n = (1+\lambda_n)^n = 1 + n\lambda_n + \frac{n(n-1)}{2}\lambda_n^2 + \cdots > 1 + \frac{n(n-1)}{2}\lambda_n^2,$$
したがって $\lambda_n < \sqrt{\dfrac{2}{n}}$。よって
$$0 < \sqrt[n]{n} - 1 = \lambda_n < \sqrt{\frac{2}{n}}.$$
はさみうちの原理より結論が得られる。
単調数列と確界
次の判別法は、外部の情報を借りず数列自身の内在的な性質から収束を判断するものである。
定義 2 数列 $\{a_n\}$ を
- 単調増加数列:すべての $n$ に対して $a_n \leq a_{n+1}$,$(n = 1, 2, \ldots)$
- 単調減少数列:すべての $n$ に対して $a_n \geq a_{n+1}$,$(n = 1, 2, \ldots)$
という。単調増加数列と単調減少数列を合わせて単調数列という。
定理 7(単調有界判別法) 単調数列が収束するための必要十分条件は、有界であることである。
注意:$\{a_n\}$ が単調増加のとき有界とは上界を持つことを意味し、すなわちある定数 $M$ が存在して $a_n \leq M$,$n = 1, 2, \ldots$。$\{a_n\}$ が単調減少のとき有界とは下界を持つことを意味する。
収束数列は必ず有界だから(定理 2 の 1$^\circ$)、逆は一般には成り立たないことは既に知っている。
しかし単調数列についてはその逆も成立する。
一個の単調増加数列 $\{a_n\}$ は上界がなければ $a_n$ の傾向は一歩一歩増大して無限大になる。
一旦上界があれば、$a_n$ は $n$ の増大とともに増大し続けるが、前方に「壁」が立ちはだかっているから、$a_n$ はある一点に限りなく近づく。
これらは形象的な描写であり、証明の代わりにはならない。
「単調数列が有界ならば必ず極限がある」という結論を証明するには、確界の概念が必要になる。
そのために、まず「確界」という概念を導入する。実数の連続性(確界原理)はここでは公理として認める。
実数からなる集合 $\mathbf{E}$ について、実数 $A$ が存在して任意の $x \in \mathbf{E}$ に対して $x \leq A$ が成り立つとき、$A$ を集合 $\mathbf{E}$ の上界という。
同様に実数 $B$ が存在して任意の $x \in \mathbf{E}$ に対して $x \geq B$ が成り立つとき、$B$ を集合 $\mathbf{E}$ の下界という。
集合 $\mathbf{E}$ が上界も下界も持つとき、$\mathbf{E}$ を有界集合という。
上界を持つ集合の上界は一意ではない。
私たちが特に関心を持つのは最小の上界あるいは最大の下界である。
$\mathbf{E}$ の最小の上界 $A$ とは、$1^\circ$ $A$ はその上界であり、$2^\circ$ $A$ より小さい数はいずれも $\mathbf{E}$ の上界でない、という条件を満たすものである。
数学的に言えば、任意の正数 $\varepsilon$ に対して $A - \varepsilon$ は $\mathbf{E}$ の上界でなく、したがって必ずある $x_\varepsilon \in \mathbf{E}$ が存在して $x_\varepsilon > A - \varepsilon$。
この最小の上界を $\mathbf{E}$ の上確界(supremum)といい、$\sup\mathbf{E}$ と記す。
同様に下確界(infimum)を定義し、$\inf\mathbf{E}$ と記す。
例:
$$\inf\left\{\frac{1}{n},\; n = 1, 2, \ldots\right\} = 0, \quad
\sup\left\{\frac{1}{n},\; n = 1, 2, \ldots\right\} = 1,$$
$$\inf(0,\,1) = 0, \quad \sup(0,\,1) = 1.$$
確界原理 上界を持つ非空集合 $\mathbf{E}$ には必ず上確界がある。下界を持つ非空集合 $\mathbf{E}$ には必ず下確界がある。
この原理に基づいて定理 7 を証明できる。
証明
$\{a_n\}$ を上に有界な単調増加数列とする。確界原理より集合
$$\mathbf{E} = \{a_1, a_2, a_3, \ldots, a_n, \ldots\}$$
は上確界を持つ。これを $a$ と記す。$a$ が $\{a_n\}$ の極限であることを示す。
任意の正数 $\varepsilon$ に対して、$a - \varepsilon$ は $\mathbf{E}$ の上界でないから、ある $a_N \in \mathbf{E}$ が存在して $a_N > a - \varepsilon$。
また $\{a_n\}$ は単調増加だから $n > N$ のとき $a_n \geq a_N > a - \varepsilon$。
さらに $a + \varepsilon > a \geq a_n$ より $n > N$ のとき
$$a - \varepsilon < a_n \leq a < a + \varepsilon,$$
すなわち $|a_n - a| < \varepsilon$。
$\{a_n\}$ が単調減少で下に有界な場合は、$\{-a_n\}$ に上の議論を適用すればよい。また逆(収束すれば有界)は定理 2 の 1$^\circ$ である。
例 16 $a_n = \sqrt{2 + \sqrt{2 + \cdots + \sqrt{2}}}$($n$ 重根号)とおくとき、$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n$ を求めよ。
解. $a_n$ は漸化式
$$a_1 = \sqrt{2}, \qquad a_{n+1} = \sqrt{a_n + 2}$$
を満たす。
まず $\{a_n\}$ が単調増加であることを確認する。$a_2 = \sqrt{2+\sqrt{2}} > \sqrt{2} = a_1$,$a_3 = \sqrt{2+\sqrt{2+\sqrt{2}}} > \sqrt{2+\sqrt{2}} = a_2$。$a_n > a_{n-1}$ と仮定すると、
$$a_{n+1} - a_n = \sqrt{a_n + 2} - \sqrt{a_{n-1} + 2} = \frac{a_n - a_{n-1}}{\sqrt{a_n + 2} + \sqrt{a_{n-1} + 2}} > 0.$$
したがって帰納法により $\{a_n\}$ は単調増加。
次に有界性を示す。$a_1 = \sqrt{2} < 2$。$a_n < 2$ と仮定すれば $a_{n+1} = \sqrt{a_n + 2} < \sqrt{2+2} = 2$。
帰納法より $a_n < 2$ がすべての $n$ について成り立つ。
定理 7 より $\{a_n\}$ は収束する。極限を $a$ とおくと $a_{n+1}^2 = a_n + 2$ の両辺の極限をとって $a^2 = a + 2$,すなわち $a^2 - a - 2 = 0$。
$a = 2$ または $a = -1$。$a_n > 0$ より $a \geq 0$,したがって $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 2$。
数 $e$
以下の重要な結果を証明する。
定理 8 $e_n = \left(1 + \dfrac{1}{n}\right)^n$,$n \geq 1$ とおくとき、数列 $\{e_n\}$ は収束する。
証明
まず $\{e_n\}$ が単調増加であることを示す。二項定理より
$$e_n = 1 + 1 + \sum_{k=2}^{n} C_n^k \cdot \frac{1}{n^k}
= 2 + \sum_{k=2}^{n} \frac{1}{k!}\cdot\frac{n(n-1)\cdots(n-k+1)}{n^k}
= 2 + \sum_{k=2}^{n} \frac{1}{k!}\left(1-\frac{1}{n}\right)\left(1-\frac{2}{n}\right)\cdots\left(1-\frac{k-1}{n}\right).$$
$e_{n+1}$ の展開式と比較すると、対応する各項において前者の方が小さい。
さらに $e_{n+1}$ には $\left(\dfrac{1}{n+1}\right)^{n+1} > 0$ という余分な項が加わるから $e_{n+1} > e_n$。
したがって $\{e_n\}$ は厳密単調増加数列である。
次に有界性を示す。$e_n$ の展開式において
$$0 < \left(1-\frac{1}{n}\right)\left(1-\frac{2}{n}\right)\cdots\left(1-\frac{k-1}{n}\right) < 1$$
より
$$e_n < 2 + \sum_{k=2}^{n}\frac{1}{k!}
< 2 + \frac{1}{1\cdot 2} + \frac{1}{2\cdot 3} + \cdots + \frac{1}{(n-1)\cdot n}
= 3 - \frac{1}{n} < 3.$$
よって $\{e_n\}$ は単調増加かつ有界だから、定理 7 より収束する。その極限を
$$e = \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n$$
と記す。
上の証明から $2 \leq \left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n < 3$ が示されるから、$2 \leq e \leq 3$。
さらに詳しく調べると $e$ は無理数であり、$e = 2.71828182\ldots$ である。
微積分やその他の分野において、$e$ を底とする対数(自然対数、$\ln$ と記す)がよく使用される。
注 定理 8 は極限によって一つの数を生成する例である($e$ が無理数であることは、後で Taylor 展開を扱うときに示す)。
同様の構造を持つ別の例として、円周率 $\pi$ の定義がある。
$\pi$ は単位円に内接する正 $2^n$ 角形の面積からなる数列の極限(有限多角形を用いて)として定義できる。
実数系と極限の関係は、実数の連続性にさかのぼって調べることができる。
例 17 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1-\frac{1}{n}\right)^{-n}$ を求めよ。
解.
$$\lim_{n\to\infty}\left(1-\frac{1}{n}\right)^{-n}
= \lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n-1}\right)^{n}
= \lim_{n\to\infty}\left[\left(1+\frac{1}{n-1}\right)^{n-1}\cdot\left(1+\frac{1}{n-1}\right)\right]
= e \cdot 1 = e.$$
有界な数列に対しては、定理 9(Bolzano--Weierstrass の定理)を証明できる。
定理 9(Bolzano--Weierstrass の定理) 任意の有界数列から収束する部分列が選べる。
証明
$\{a_n\}$ を有界数列とする。$\alpha_n = \inf\{a_n, a_{n+1}, \ldots\}$ とおけば、$\{\alpha_n\}$ は単調増加かつ有界だから収束する。その極限を $\alpha$ とする。
各 $k$ に対して、下確界の性質から $n_k > n_{k-1}$ なる $n_k$ を
$\alpha_{n_{k-1}+1} \leq a_{n_k} < \alpha_{n_{k-1}+1} + \dfrac{1}{k}$ となるようにとれる($n_0 = 0$ とする)。
こうして部分列 $\{a_{n_k}\}$ が得られる。$n_{k-1}+1 \to \infty$ だから $\alpha_{n_{k-1}+1} \to \alpha$ であり、はさみうちの原理より $a_{n_k} \to \alpha$($k \to \infty$)。
コーシー列
$\varepsilon$-$N$ 論法による収束の定義では、極限値 $a$ があらかじめわかっている必要がある。しかし実際には極限値がわからない場合も多い。そこで、極限値を用いずに収束を判定する基準が望ましい。
定義 3 数列 $\{a_n\}$ がコーシー列(基本列)であるとは、任意の $\varepsilon > 0$ に対してある自然数 $N$ が存在して、$m, n > N$ のとき
$$|a_m - a_n| < \varepsilon$$
が成り立つことをいう。
定理 10(コーシーの収束判定条件) 実数の数列 $\{a_n\}$ が収束するための必要十分条件は、$\{a_n\}$ がコーシー列であることである。
証明
(必要性)$\{a_n\} \to a$ とする。任意の $\varepsilon > 0$ に対してある $N$ が存在して $n > N$ のとき $|a_n - a| < \dfrac{\varepsilon}{2}$。よって $m, n > N$ のとき
$$|a_m - a_n| \leq |a_m - a| + |a - a_n| < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon.$$
(十分性)$\{a_n\}$ をコーシー列とする。$\varepsilon = 1$ に対する $N$ をとると、$n > N$ のとき $|a_n - a_{N+1}| < 1$ なので、$\{a_n\}$ は有界である。定理 9 より収束する部分列 $a_{n_k} \to a$ がある。任意の $\varepsilon > 0$ に対して、$m, n > N'$ ならば $|a_m - a_n| < \dfrac{\varepsilon}{2}$ となる $N'$ と、$k > K$ ならば $|a_{n_k} - a| < \dfrac{\varepsilon}{2}$ となる $K$ がある。$n_k > N'$ かつ $k > K$ なる $k$ を一つとれば、$n > N'$ のとき
$$|a_n - a| \leq |a_n - a_{n_k}| + |a_{n_k} - a| < \varepsilon.$$
したがって $a_n \to a$。
定理 10 の条件は次のように言い換えることもできる:任意の正数 $\varepsilon$ に対して自然数 $N$ が存在して、$n > N$ のとき任意の自然数 $p$ に対して
$$|a_{n+p} - a_n| < \varepsilon.$$
例 18 $a_n = \dfrac{\sin 1}{1^2} + \dfrac{\sin 2}{2^2} + \cdots + \dfrac{\sin n}{n^2}$ として、$\{a_n\}$ が収束することを示せ。
証明.
$$\begin{aligned}|a_{n+p} - a_n|
&= \left|\frac{\sin(n+1)}{(n+1)^2} + \cdots + \frac{\sin(n+p)}{(n+p)^2}\right| \\
&\leq \frac{1}{(n+1)^2} + \cdots + \frac{1}{(n+p)^2} \\
&< \frac{1}{n(n+1)} + \cdots + \frac{1}{(n+p-1)(n+p)} \\
&= \frac{1}{n} - \frac{1}{n+p} < \frac{1}{n}.\end{aligned}$$
よって任意の正数 $\varepsilon$ に対して $N = \left[\dfrac{1}{\varepsilon}\right]$ をとれば、$n > N$ のとき任意の自然数 $p$ に対して $|a_{n+p} - a_n| < \varepsilon$。Cauchy 判定条件より $\{a_n\}$ は収束する。
例 19 $a_n = 1 + \dfrac{1}{2} + \cdots + \dfrac{1}{n}$ として、$\{a_n\}$ が発散することを示せ。
証明. 任意の自然数 $n$ に対して $p = n$ をとると、
$$a_{2n} - a_n = \frac{1}{n+1} + \frac{1}{n+2} + \cdots + \frac{1}{n+n} > \frac{1}{2n} + \frac{1}{2n} + \cdots + \frac{1}{2n} = \frac{1}{2}.$$
よって Cauchy 判定条件が満たされず、$\{a_n\}$ は発散する。
無限大に発散する数列
大まかに言えば、$n$ が無限に増大するとき数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ の一般項 $a_n$ の絶対値が任意に大きくなる場合、その数列は無限大に発散するという。
定義 4 数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ において、任意に与えられた正数 $M$ に対して自然数 $N$ が存在して $n > N$ のとき $|a_n| > M$ が成り立つとき、数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ は無限大に発散するといい、
$$\lim_{n\to\infty} a_n = \infty, \quad \text{あるいは} \quad a_n \to \infty\ (n \to \infty)$$
と記す。
無限大に発散する数列は発散数列であるから、極限の四則演算等の定理はこの種の数列に対して一般には成立しないことに注意せよ。
定義から明らかに、無限大に発散する数列は必ず無界であるが、逆は成り立たない。
たとえば数列 $0, 1, 0, 2, \ldots, 0, n, \ldots$ は無界だが無限大に発散しない。
しかし単調数列については、無限大に発散することと無界であることは同値である(定理 7 と比較せよ)。
定理 11 単調数列が無限大に発散するための必要十分条件は無界であることである。
証明
必要性は上で述べた。十分性を示す:$\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ が単調増加かつ上界を持たない数列ならば $a_n \to +\infty$,$(n \to \infty)$。
任意の正数 $M$ に対して $\{a_n\}$ は上界を持たないから、ある $a_N > M$ が存在する。
$\{a_n\}$ は単調増加だから $n > N$ のとき $a_n > a_N > M$。これが所要の証明である。
単調減少数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ の場合は $\{-a_n\}$,$(n \geq 1)$ が単調増加に帰着させることができ、また上の結果を利用できる。
数列 $\{a_n\}$ が無限大に発散するとき、$a_n$ を無限大量という。対応して、$\{a_n\}$ が $0$ に収束するとき、$a_n$ を無限小量という。
上極限と下極限
定理 2 と定理 4 より、収束数列は有界であり、かつ任意の部分列はもとの数列と同じ極限を持つ。
また定理 9(Bolzano--Weierstrass)より有界数列には必ず収束する部分列がある。
一般に有界数列は多数の異なる極限を持つ部分列を持つ可能性がある。
問題は、有界数列の任意の収束部分列がすべて同一の極限を持つとき、その有界数列は収束するか、ということである。
答えは肯定的であり、証明は演習問題に残す。
したがって収束しない有界数列は少なくとも2つの異なる極限を持つ部分列を持つ。
明らかに有界数列のすべての部分列の極限からなる集合は有界集合であり、この集合には確定した上確界と下確界がある。
無界数列に対しても、$+\infty$ または $-\infty$ に発散する部分列を取り出せる。
数列 $\{a_n\}$ に対して、集合
$$E = \left\{l \in \mathbf{R} \cup \{+\infty, -\infty\} : a_n \text{ の部分列 } a_{k_n} \text{ が } l \text{ に収束する},\ n \to \infty\right\}$$
は常に非空である。$a^* = \sup E$,$a_* = \inf E$ とおき、これらをそれぞれ数列 $\{a_n\}$ の上極限および下極限といい、
$$\limsup_{n\to\infty} a_n, \qquad \liminf_{n\to\infty} a_n$$
と記す。
上確界と下確界の定義から $a^*$ と $a_*$ はともに $E$ の中に属することが証明できるから、数列 $\{a_n\}$ の上(下)極限はちょうどそのすべての収束部分列の極限からなる集合の中の最大(小)者である。
明らかに下確界は上確界を超えず、また $a_n \to a$ と $\limsup_{n\to\infty} a_n = \liminf_{n\to\infty} a_n = a$ は同値であることも証明できる。
練習問題
- 定義を用いて証明せよ。数列 $\{a_n\}$,$(n \geq 1)$ が次の条件を満たすとする:任意の正数 $\varepsilon$ に対して自然数 $N$ が存在して $n > N$ のとき $|a_n - a| < M\varepsilon$($M$ は定数)。このとき $\{a_n\}$ は必ず $a$ を極限として収束することを示せ。
- 証明せよ:$\displaystyle\lim_{n\to\infty}(a_n - a) = 0$ のとき $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$(数列の極限の証明問題の多くは同様の方法で処理できる)。
- 証明せよ:$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty}|a_n| = |a|$;逆は必ずしも成り立たない(反例を挙げよ)。ただし $\displaystyle\lim_{n\to\infty}|a_n| = 0$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$。
- 証明せよ:$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$,かつ $|b_n| \leq M$,$(n = 1, 2, \ldots)$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n b_n = 0$。
- 証明せよ:数列 $\{a_n\}$ が $\displaystyle\lim_{k\to\infty} a_{2k+1} = a$,かつ $\displaystyle\lim_{k\to\infty} a_{2k} = a$ を満たすならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$。
- 次の数列が収束しないことを証明せよ。
- $a_n = (-1)^n \dfrac{n}{n+1}$;
- $a_n = 5\!\left(1 - \dfrac{2}{n}\right) + (-1)^n$。
- 次の極限を求めよ。
- $a_n = \dfrac{4n^2+5n+2}{3n^2+2n+1}$;
- $a_n = \dfrac{1}{1\cdot 2} + \dfrac{1}{2\cdot 3} + \cdots + \dfrac{1}{(n-1)\cdot n}$;
- $a_n = \left(1-\dfrac{1}{3}\right)\!\left(1-\dfrac{1}{6}\right)\cdots\left(1-\dfrac{2}{n(n+1)}\right)$;
- $a_n = \left(1-\dfrac{1}{2^2}\right)\!\left(1-\dfrac{1}{3^2}\right)\cdots\left(1-\dfrac{1}{n^2}\right)$;
- $a_n = (1+q)(1+q^2)(1+q^4)\cdots(1+q^{2^n})$,$|q| < 1$。
- $a_n \neq 0$,$(n = 1, 2, \ldots)$ かつ $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$ のとき、$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{a_n}{a_{n+1}} = 1$ といえるか。
- 数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$ が $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n \cdot b_n = 0$ を満たすとき、$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$ または $\displaystyle\lim_{n\to\infty} b_n = 0$ が必ず成り立つか。また $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$ も仮定した場合、同様の問いに答えよ。
- 数列 $\{a_n\}$ が収束し数列 $\{b_n\}$ が発散するとき、数列 $\{a_n \pm b_n\}$,$\{a_n \cdot b_n\}$ の収束性はどうか。例を挙げて説明せよ。数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ がともに発散するとき、同様の問いに答えよ。
- 次の推論は正しいか。
- 数列 $\{a_n\}$:$a_1 = 1$,$a_{n+1} = 2a_n - 1$,$(n = 1, 2, \ldots)$ について $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n$ を求めよ。
解: $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$ とおき、$a_{n+1} = 2a_n - 1$ の両辺の極限をとると $a = 2a - 1$,すなわち $a = 1$。 $$\begin{aligned}&\lim_{n\to\infty}\left(\frac{1}{\sqrt{n^2+1}} + \frac{1}{\sqrt{n^2+2}} + \cdots + \frac{1}{\sqrt{n^2+n}}\right) \\
&= \lim_{n\to\infty}\frac{1}{\sqrt{n^2+1}} + \lim_{n\to\infty}\frac{1}{\sqrt{n^2+2}} + \cdots + \lim_{n\to\infty}\frac{1}{\sqrt{n^2+n}} \\
&= \underbrace{0 + 0 + \cdots + 0}_{n\text{ 個}} = 0.\end{aligned}$$
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n = \left[\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)\right]^n = 1^n = 1$。
- 数列 $\{a_n\}$ と $\{b_n\}$ がそれぞれ $a$,$b$ に収束する。$a > b$ ならば、ある項以降で $a_n > b_n$;逆に、ある項以降で $a_n \geq b_n$ ならば $a \geq b$。
- 数列 $\{a_n\}$,$\{b_n\}$ がそれぞれ $a$,$b$ に収束する。$c_n = \max(a_n, b_n)$,$d_n = \min(a_n, b_n)$,$(n = 1, 2, \ldots)$ とおくとき、
$$\lim_{n\to\infty} c_n = \max(a, b), \qquad \lim_{n\to\infty} d_n = \min(a, b)$$
を示せ。 - 次の極限を求めよ。
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left[\frac{1}{(n+1)^2}+\frac{1}{(n+2)^2}+\cdots+\frac{1}{(2n)^2}\right]$;
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}[(n+1)^k - n^k]$,ただし $0 < k < 1$;
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}(\sqrt{2}\cdot\sqrt[4]{2}\cdot\sqrt[8]{2}\cdots\sqrt[2^n]{2})$;
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{n^2-n+2}$;
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{\cos^2 1 + \cos^2 2 + \cdots + \cos^2 n}$。
- $a_1, \ldots, a_m$ を $m$ 個の正数とする。$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\sqrt[n]{a_1^n + a_2^n + \cdots + a_m^n} = \max(a_1, a_2, \ldots, a_m)$ を証明せよ。
- 次の数列が収束することを証明せよ。
- $a_n = \left(1-\dfrac{1}{2}\right)\!\left(1-\dfrac{1}{2^2}\right)\cdots\left(1-\dfrac{1}{2^n}\right)$;
- $a_n = \dfrac{1}{3+1}+\dfrac{1}{3^2+1}+\cdots+\dfrac{1}{3^n+1}$;
- $a_n = \alpha_0 + \alpha_1 q + \cdots + \alpha_n q^n$,ただし $|\alpha_k| \leq M$,$(k = 1, 2, \ldots)$,かつ $|q| < 1$;
- $a_n = \dfrac{\cos 1}{1\cdot 2}+\dfrac{\cos 2}{2\cdot 3}+\dfrac{\cos 3}{3\cdot 4}+\cdots+\dfrac{\cos n}{n\cdot(n+1)}$。
- 次の数列の収束を証明し、その極限を求めよ。
- $a_n = \dfrac{n}{c^n}$,$(c > 1)$;
- $a_1 = \dfrac{c}{2}$,$a_{n+1} = \dfrac{c}{2} + \dfrac{a_n^2}{2}$,$(0 \leq c \leq 1)$;
- $a > 0$,$a_0 > 0$,$a_{n+1} = \dfrac{1}{2}\!\left(a_n + \dfrac{a}{a_n}\right)$,(ヒント:$a_n^2 \geq a$ をまず証明せよ);
- $a_0 = 1$,$a_n = 1 + \dfrac{a_{n-1}}{a_{n-1}+1}$;
- $a_n = \sin(\sin(\cdots\sin 1\cdots))$($\sin$ を $n$ 回合成したもの)。
- $a_n \leq a \leq b_n$,$(n = 1, 2, \ldots)$ かつ $\displaystyle\lim_{n\to\infty}(a_n - b_n) = 0$ とする。$\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = a$,$\displaystyle\lim_{n\to\infty} b_n = a$ を証明せよ。
- 証明せよ:$a_n > 0$ かつ $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{a_{n+1}} = l > 1$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = 0$。
- 極限 $\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{1}{n}\right)^n = e$ を利用して次の数列の極限を求めよ。
- $a_n = \left(1+\dfrac{1}{2n+1}\right)^{2n+1}$;
- $a_n = \left(1-\dfrac{1}{n-2}\right)^{n+1}$;
- $a_n = \left(\dfrac{1+n}{2+n}\right)^n$;
- $a_n = \left(1+\dfrac{1}{n^3}\right)^{2n^3}$。
- $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n = \infty$ かつ $|b_n| \geq b > 0$,$(n = 1, 2, \ldots)$ ならば $\displaystyle\lim_{n\to\infty} a_n b_n = \infty$ を示せ。
- $n \to \infty$ のとき $\sqrt[n]{n!}$ と $n\sin\dfrac{n\pi}{2}$ は有界か、無限大に発散するか確かめよ。
- 数列 $\{a_n\}$ を $a_1 = 1$,$a_{n+1} = a_n + \dfrac{1}{a_n}$,$(n \geq 1)$ で定義する。$a_n \to +\infty$,$(n \to \infty)$ を証明せよ。
解答
- 与えられた $\varepsilon' > 0$ に対し、仮定を $\varepsilon = \varepsilon'/M$ に適用すれば $|a_n - a| < \varepsilon'$($M>0$ とする)。
- $|a_n - a| = |(a_n - a) - 0|$ なので、$\lim(a_n - a) = 0$ の定義がそのまま $\lim a_n = a$ の定義になる。
- $\big||a_n| - |a|\big| \leq |a_n - a|$ から従う。逆は成り立たない:$a_n = (-1)^n$ では $|a_n| \to 1$ だが $\{a_n\}$ は発散する。$\lim |a_n| = 0$ のときは $|a_n - 0| = \big||a_n| - 0\big|$ なので $a_n \to 0$。
- $|a_n b_n| \leq M|a_n| \to 0$。1 番により $a_n b_n \to 0$。
- $\varepsilon > 0$ に対し、偶数番・奇数番の項について $N_1$, $N_2$ をとり、$n > \max(2N_1 + 1,\, 2N_2 + 1)$ ならば $n$ が偶数でも奇数でも $|a_n - a| < \varepsilon$。
- (1) $a_{2k} \to 1$,$a_{2k-1} \to -1$ で異なる極限をもつ部分列がある。(2) $a_{2k} \to 6$,$a_{2k-1} \to 4$。
- (1) $\dfrac{4}{3}$。(2) $\dfrac{1}{k(k+1)} = \dfrac{1}{k} - \dfrac{1}{k+1}$ から $a_n = 1 - \dfrac{1}{n} \to 1$。(3) $1 - \dfrac{2}{k(k+1)} = \dfrac{(k-1)(k+2)}{k(k+1)}$ なので $a_n = \dfrac{1}{n} \cdot \dfrac{n+2}{3} \to \dfrac{1}{3}$。(4) $1 - \dfrac{1}{k^2} = \dfrac{(k-1)(k+1)}{k^2}$ なので $a_n = \dfrac{1}{n} \cdot \dfrac{n+1}{2} \to \dfrac{1}{2}$。(5) $(1-q)a_n = 1 - q^{2^{n+1}}$ より $a_n \to \dfrac{1}{1-q}$。
- $a \neq 0$ なら $\dfrac{a_n}{a_{n+1}} \to \dfrac{a}{a} = 1$。$a = 0$ のときは言えない($a_n = 2^{-n}$ では比が $2$)。
- 言えない。$a_n = 1, 0, 1, 0, \dots$、$b_n = 0, 1, 0, 1, \dots$ では積は $0$ だが、どちらも $0$ に収束しない。$a_n \to a \neq 0$ も仮定すれば $b_n = \dfrac{a_n b_n}{a_n} \to 0$ となる。$a = 0$ のときは何も言えない。
- 収束+発散:和・差は必ず発散(収束するなら発散する項が $\pm$ の差で表せてしまう)。積は収束も発散もありうる($a_n = 0$,$b_n = (-1)^n$ では積は $0$ に収束。$a_n = 1$ では発散)。発散+発散:和・積とも収束も発散もありうる($b_n = -a_n$ なら和は $0$、$a_n = b_n = (-1)^n$ なら積は $1$)。
- (1) 結論は偶然合っているが推論は不正。$a_1 = 1$ なら $a_n \equiv 1$ だが、$a_1 = 2$ では $a_n = 2^{n-1} + 1$ は発散するのに同じ推論で $a = 1$ が出てしまう。極限の存在を先に示す必要がある。(2) 項数が $n$ とともに増えるので和の極限を項ごとにとることはできない。正しい極限は $1$(例 13)。(3) 指数も $n$ に依存するので積の極限則は使えない。正しい極限は $e$。
- 定理 3 と同じ($c = \dfrac{a+b}{2}$ を間にはさむ)。
- $c_n = \dfrac{a_n + b_n + |a_n - b_n|}{2}$,$d_n = \dfrac{a_n + b_n - |a_n - b_n|}{2}$ と 3 番から、極限は $\dfrac{a + b + |a - b|}{2} = \max(a,b)$,$\min(a,b)$。
- (1) $\dfrac{1}{4n} = \dfrac{n}{(2n)^2} \leq (\text{和}) \leq \dfrac{n}{(n+1)^2}$ から $0$。(2) $0 < k < 1$ のとき $(1+\tfrac1n)^k \leq 1 + \tfrac{k}{n}$ なので $0 < (n+1)^k - n^k \leq k n^{k-1} \to 0$。極限は $0$。(3) 積は $2^{1/2 + 1/4 + \cdots + 1/2^n} = 2^{1 - 2^{-n}} \to 2$。(4) $1 \leq n^2 - n + 2 \leq n^2$ より $1 \leq \sqrt[n]{n^2 - n + 2} \leq (\sqrt[n]{n})^2$ で、極限は $1$。(5) 隣り合う二項は $\cos^2 k + \cos^2(k+1) \geq \dfrac{\sin^2 1}{2}$($\sin 1 = \sin(k+1)\cos k - \cos(k+1)\sin k$ より $|\cos k| + |\cos(k+1)| \geq \sin 1$)なので、和は $n$ 以下で $c\,n$ 以上($c>0$ は定数、$n \geq 2$)。よって $n$ 乗根は $1$ に収束する。
- $M = \max a_i$ とすると $M \leq \sqrt[n]{a_1^n + \cdots + a_m^n} \leq \sqrt[n]{m}\,M$。例 14 より $\sqrt[n]{m} \to 1$。はさみうち。
- (1) 項は正で単調減少、下に有界($0$)。(2) 単調増加で、$a_n < \sum 3^{-k} < \dfrac{1}{2}$ より上に有界。(3) $|a_{n+p} - a_n| \leq M\dfrac{|q|^{n+1}}{1 - |q|} \to 0$ で、コーシー列。(4) $|a_{n+p} - a_n| \leq \sum_{k=n+1}^{n+p}\dfrac{1}{k(k+1)} = \dfrac{1}{n+1} - \dfrac{1}{n+p+1} < \dfrac{1}{n+1}$ で、コーシー列。
- (1) 例 11 から $0$。(2) 不動点 $x_* = 1 - \sqrt{1 - c}$ をとる。$a_n \leq x_*$ と $a_n$ の単調増加が帰納法でわかり($a_{n+1} - a_n = \tfrac12(a_n - x_*)(a_n - x_{**}) \geq 0$,$x_{**} = 1 + \sqrt{1-c}$)、極限は $1 - \sqrt{1-c}$。(3) $a_{n+1} - \sqrt a = \dfrac{(a_n - \sqrt a)^2}{2a_n} \geq 0$ なので $n \geq 1$ で $a_n \geq \sqrt a$。さらに $a_{n+1} - a_n = \dfrac{a - a_n^2}{2a_n} \leq 0$ で単調減少。極限を $L$ とすると $L = \tfrac12(L + a/L)$ より $L = \sqrt a$。(4) $f(x) = 1 + \dfrac{x}{x+1}$ は増加関数で $a_1 = \tfrac32 > a_0$。よって $a_n$ は単調増加で、$L = \dfrac{1+\sqrt5}{2}$ より小さい($f(L) = L$)。極限は $\dfrac{1+\sqrt5}{2}$。(5) $0 < \sin x < x$ より単調減少で下に有界。極限を $L$ とすると $L = \sin L$ から $L = 0$。
- $0 \leq a - a_n \leq b_n - a_n \to 0$ より $a_n \to a$。$0 \leq b_n - a \leq b_n - a_n$ より $b_n \to a$。
- $1 < r < l$ なる $r$ をとると、$n \geq N$ で $a_{n+1} < a_n / r$。よって $0 < a_n < a_N r^{-(n-N)} \to 0$。
- (1) $(1+\tfrac1m)^m$ の部分列($m = 2n+1$)なので $e$。(2) $m = n - 2$ とおくと $\left(1 - \dfrac{1}{m}\right)^{m+3} \to e^{-1}$。(3) $\dfrac{1+n}{2+n} = 1 - \dfrac{1}{n+2}$ より $\left(1 - \dfrac{1}{m}\right)^{m-2} \to e^{-1}$。(4) $\left[\left(1 + \dfrac{1}{n^3}\right)^{n^3}\right]^2 \to e^2$。
- $|a_n b_n| \geq b|a_n| \to \infty$。
- $n! \geq (n/2)^{n/2}$ なので $\sqrt[n]{n!} \geq \sqrt{n/2} \to \infty$(無限大に発散)。$n\sin\dfrac{n\pi}{2}$ は $0, n, 0, -n, \dots$ と動くので無界だが、$0$ になる項が無限にあるので無限大には発散しない。
- $a_n$ は単調増加。もし上に有界なら収束して極限 $L$ をもち $L = L + 1/L$ となって矛盾する。したがって無界で、定理 11 より $a_n \to +\infty$。